一般的にはマイナーだけどきっと当時のアニメファンの方々には懐かしい、82年に放送された「魔境伝説アクロバンチ」です。 なんとなく興味があったので思い切ってDVDを購入して見てみたら、とても面白くて気に入りました。昔のロボットアニメって本当に面白いですね。設定がまた楽しいんですよ。 「ダンガードA」がロボットアニメ版「巨人の星」、「闘将ダイモス」が「ロミオとジュリエット」、「ダイオージャ」が「水戸黄門」、それでいくとこの「アクロバンチ」はロボットアニメ版「インディジョーンズ」と言えるかもしれません。
内容の方は、 舞台は21世紀後半。カリフォルニア沖で海洋農場を営む蘭堂一家。ある日その農場の建築現場から大秘宝「クワスチカ」に纏わるという破片が発見された。一家の父タツヤは密かに建造していた探索用ロボット「アクロバンチ」を駆って長年の夢でもあった秘宝探しの旅に出ると宣言する。しかし、子供達からは呆れられ、破片とクワスチカの関係について、知人の博士を通じて学会に発表するも一笑されて終ってしまった。そんな時、タツヤの動きに気づいた地底人・ゴブリンによって博士は暗殺され、農場は破壊されてしまう。ゴブリンは、地上に這い上がり世界を征服するためにクワスチカを必要としていたからだった。何もかも失った蘭堂一家は残されたアクロバンチを母船として、ゴブリンよりも先にクワスチカを探し出そうと旅立つのだった・・。 ・・・という感じでしょうか。
このアニメはJ9シリーズと同じく「国際映画社」というところが製作していて、きっとこれもあんな感じの雰囲気なんだろうな、と思ってました。絵柄は「ゴーショーグン」ぽい感じがするし、どっちにしろああいうノリなんだろうな~・・と少し心配でした。というのも、以前どこかでも触れましたが、私はあのファン層狙いな、オシャレ系な作風に馴染めないようでどちらも途中まで見て挫折してるんですよ^_^; それで、この「アクロバンチ」もちゃんと最後まで見届けることが出来るだろうか?と心配だったのです。オシャレ系っていっても、四捨五入すればもうかれこれ30年近く前に製作された物なんですけどね・・。
そんなわけで「せっかく買ったDVDなのに、途中でギブアップなんてもったいない!なんとしても見てやるぞ~!!」と意気込んでじっくり見たのですが、その決意は良い意味で裏切られました。仲良し一家がアツい想いを胸に秘宝探しをするというアットホーム(文字通り家なんですが・・)な展開に心癒されました。キャラクター達のやりとりも、別におしゃれな・・という訳でもなく、全体的にほのぼのとしていて温かいんですよ。何しろ家族ですから、別に特別なことがなくても普段から愛が溢れているのです。 アクロバンチの胸部が住居になっていて、そこで一家6人が生活しているという設定も和みすぎ、面白すぎ!住居であり、探索メカであり、戦闘メカにもなるなんて、とても夢のある設定じゃありませんか。戦い方も掛け声や武器の名前叫びまくりでアツいし、全体に漂う程良いダサさ加減&突っ込み所満載なところも大変気に入りました。意外に子供向けっぽくシンプルに作られていたのが嬉しかったです。
番組自体はマイナーだと思いますが、さまざまなエピソードが語り継がれているようで、ネットで検索するといろいろヒットしました。レザリオンの時と比べると大違いです^_^; アニメ雑誌で特集を組まれたり、ちゃんと記事が載っていたりしたようですのでそれなりに注目されていた作品なのではないでしょうか??
調べると、このアニメを見る&語る上ではずせないのが以下の点ですね。
・キャラデザインや作画監督等、製作スタッフが豪華
いのまたむつみさんが初めてキャラデザインを担当されたのがこのアニメとのこと。いのまたさんといえば、「プラレス三四郎」とか「ゴーショーグン」がすぐに浮かんできます。知識が随分古いところで止まってますけどね・・(笑)。それから私の世代だと「サイバーフォーミュラ」ですね。あの丸っこい目の描き方が懐かしい!「アニメディア」でイラストの連載をされていたときもあったなぁ。 それから越智一裕さんや金田伊功さんの作画のことも有名ですよね。他の回とあまりに絵が違うので正直言ってちょっとびっくりしてしまいましたが・・・。好みが分かれるところですが、見慣れるとあの独特な角度とぐにゃぐにゃ感が癖になるんだろうな~。それにしても越智さん、当時まだ20歳だったなんて・・。 作画は回によってかなりバラバラで、すごくいい回もあれば「なんだかなぁ」と思える回もあります。いのまたさんや越智さんの回が有名なようですが、私はどちらでもなく、1話と3話の絵柄が素朴で好きでした。あとは人物よりもアクロバンチの顔が不細工で、オッサンみたいに見える時があって、そっちの方が気になりました(笑)。
・放送時間を3回も変更された後、結局打ち切り
3回って凄まじいですね・・。たった24話しかないのに・・。毎回楽しみにしているファンでさえ途中で「何曜日の何時からだっけ??」となってしまいそうですよ・・。 もともとは水曜7時からで、裏番組は「Dr.スランプアラレちゃん」だったそうです。これはどう考えても勝てないですよね・・。アラレちゃんって男女共に人気でしたし。我が家も当然「Dr.スランプ」を見てました。この時間帯は「ドラゴンボール」シリーズが終わるまで随分長い間「鳥山明アワー」でしたね~。 それから、アクロバンチが放送されていたのは「日本テレビ」なんですが、なんとなく「テレビ東京」とか、名古屋とか、地方では映らないようなチャンネルで放送されていたようなイメージがあったので、全国放送だったのが意外でした。
・スポンサーのおもちゃ会社が「コスモス」
私的にはこれが一番驚きだったかも(笑)?ちゃんとした大きな玩具は「ポプラ」という所が作っていたらしいんですけどね。 コスモスと言えばガチャガチャでビックリマンのパチシールを作っていたという印象しかないんですけど・・。私はちょうどそのパチシールの どストライク世代 で、当時掴まされたシールを未だに捨てられずに取ってあるんですよ。大抵、スーパー(大型スーパーではなく、食料品くらいしか置いてない小さな店)の外にそのマシーンがあって、100円で20枚くらいセットでゴッソリカプセルに入ってて嬉しかったなぁ~。子供心にも偽者だってわかってたんですけどね。 という訳で、この会社はパチモノを専門に作ってる所だとずっと思ってました・・。もし、アクロバンチのおもちゃがガンダム並に大ヒットしていたら、その後の行方も変わっていたかもしれませんね~。
・意外なキャスティング
主人公のジュン役は中原茂さん。これがデビュー作だそうです。それから長男ヒロ役にアナゴさんやセル役でお馴染みの若本規夫さん、長女のミキ役は「あさりちゃん」やパーマン役をされていた三輪勝恵さんでした。あんな若い美形兄ちゃんを演じていた若本さんにも驚きですが、三輪さんの方がもっとビックリでした。若いお姉さん役をされているのは初めて見ました。ギャグシーンになると、たまに「あさりちゃん」っぽい声になる時もありましたが、普段は全然違和感なしです。言われないと気づかないと思います。
・未完成のOP&ED
放送当時はOPも未完成だったそうですが、DVDには完成版しか収録されてません。EDの方は4話くらいまでが未完成で、そのまま収録されています。どのあたりが未完成かというと、一番のポイントは「馬が動かない(笑)」。あと、♪振り向いてジュン~♪の所のジュンが走っている所のバックの色が白い(完成版は赤)、あと、ラストで振り返ったジュンの「JUN」という文字が光らない・・そのくらいでしょうか。最初は「未完成」だということを知らずに見ていたのですが、知らなければ「こういうものなんだ」と思えました。完成版に慣れた後に見ると変な感じがしますけどね~。それにしても、OPやEDを未完成なまま放送してしまうとは「一体どんだけ時間がなかったんだ??」という感じですね。
・合体シーンがカッコいい
真っ黒な背景にメカが変形する様子が白フレームで表現された物でした。実はこれも時間がなかったための苦肉の策だったそうなんですが、それがかえって斬新な感じに映って視聴者に好評だったそうです。これも中盤から色付きになり、ロボットアニメらしい変形シーンになりました。
・ポロリ
これは人によっては一番欠かせないネタかもしれません^_^; たった24話の中にあんなシーンが2回もあるとは・・・。しかも姉妹揃って・・。 次のページでキャラクターと共に語りたいと思います。
・父と長男がカッコ良すぎ
評判どおり・見た目どおりのカッコよさでした!キャラクターについては次のページで語りたいと思います。
★ネタばれになってしまいますが、最終回まで見た感想です。 例外もありますが、蘭堂一家を乗せたアクロバンチの旅は毎回こんな感じで進んでいきます。
①今回の旅のコースを決める。古代の遺跡を巡るか、クワスチカについて知ってそうな父の知り合いを尋ねる。神話など、言い伝えを参考にしつつ父と上の兄二人が話し合うときもあるが、最終的には結局父が決めてしまう。
②今回の舞台となる土地に到着。父の知り合いとおちあったり、ゲストキャラに出合ったりする。ゲストキャラだった場合、蘭堂一家の一人と仲良くなる。そして、異性だった場合、いつの間にかいい雰囲気になっている。
③蘭堂一家の動きを嗅ぎ付けたゴブリンが攻撃してくる。
④アクロバンチで合体したり分離したりしながらゴブリンのUFOを打ち落とす。
⑤そんなこんなでバタバタしている時に例の破片が唸りだす。
⑥「近くにクワスチカにあるんだ」と期待しつつ唸りを頼りに、その場所に近づく。
⑦しかし、近づくとアクロバンチもゴブリンも拒否され、その遺跡はバラバラに崩れてしまう。
⑧ゲストキャラとの別れ。今回は結局見つからなかったけど、これからも希望を持って旅を続けるぞ!みたいな感じで終わる。
ちょっと違う所もあるかもしれないけど、大体これが大まかな流れです。
毎回冒頭で流れるナレーションが「学校の視聴覚室とかで見る映像の音声」みたいでカッコいい! 蘭堂一家とアクロバンチが訪れた遺跡は必ずバラバラに崩れてしまうので、「『アクロバンチ』は、蘭堂一家が遺跡を破壊して回る話」と言われていることも多くてちょっと笑ってしまいました(笑)。でも、本当に結果としてそうなってるんですよねぇ~。 蘭堂一家とゴブリンが、喉から手が出るほど欲しい「クワスチカ」。これの正体が一体何なのか?ということは視聴者にもわからないようになっていて、蘭堂一家の旅と共に少しづつ解明されていくのがとてもワクワクして面白いです。あと、クワスチカを解明する鍵として「エネルギーポール」という棒も登場します。これは全部で4本あり、ゴブリンとの戦いの最中に遺跡の中から出現したりします。これを全て集めるとクワスチカが出現するのでは・・ということで、蘭堂一家とゴブリンはクワスチカ以前にこの棒の取り合いをすることになります。
最初はOP主題歌の歌詞の通り「幻の秘宝を求めるロマン」として旅を楽しんでいた蘭堂一家ですが、徐々に「クワスチカは未来兵器であり、実は地球滅亡につながる恐ろしい物」だということが解明されていきます。そして、1話で学会に発表した時は誰からも相手にされなかったのに、いつの間にか地球連邦軍もその存在を認めるようになり、一家に協力し始めます。初期のほのぼの旅行編も楽しいですが、このあたりがクライマックスで大変燃えるところです。自分達が探していた物がこんな絶望的な物だったなんて、今までやってきたことは一体何だったのか?とショックを受ける蘭堂一家。子供たちも父に当たりますが、「ここまで来たんだから今更引き下がれるか!俺達は父さんの味方だ!」とすぐに団結。明るさを取り戻すのでした。
そして、問題の最終回に辿りつくのですが、この最終回も途中まではなかなか燃えます。ついにクワスチカが出現するのですが、ポールは予想通りクワスチカを発動させる鍵になっていて、それぞれ1本づつ刺していくシーンがカッコいいです。しかも、その中の一本がアクロバンチが武器として使用していた剣で・・というのもイイですね。
鍵ってなんだかときめきますよね??「ひみつの鍵」「花の鍵」「時空の鍵」!こういうのが好きな者にとってはたまりません。
ポールはアクロバンチもゴブリンも同じ物に刺していくので、奪い合った意味は全くありませんでした。結果的に協力して見つけたことになりますね。ここまでは盛り上がったのですが、発動後はクワスチカの中から聴こえる声から延々と説教タイム開始。クワスチカは全ての命の源であり、蘭堂一家達地球人も地底人ゴブリンも元は同じだったということが語られます。今までの出来事を全てリセットするため地球は滅亡(・・したんですよね??)。蘭堂一家はそれぞれ旅の途中で出合ったパートナーを連れて転生し、地球へ帰るというところで終了です。
最終回までの流れはとても良かったのに、あまりに壮大なラスト(輪廻転生がテーマ)だったためなんだか物語が掴みきれず、あっけに取られてしまったような感じでした。何と言っても地球がどうなったのか、蘭堂一家はどうなったのか?という肝心な部分をぼかして描かれていたためなんだかスッキリしませんでした。かと言って、地球やアクロバンチが大爆発を起こして、モロに「全滅」なシーンを描かれてもトラウマ必至になっていたでしょうし・・・。最後は視聴者の皆さんの想像にお任せします。ということかもしれません。
私としては、こんな小難しいラストにせずに、思い切ってもっと単純にしてハッピーエンドにすればよかったのにと思いました。ゴブリンが先にクワスチカを発見、悪用して地球を征服しようとしたが、逆に拒絶されゴブリンは滅亡、絶体絶命というところで地球と蘭堂一家を助けてくれる(ありがち)とか、結局見つけることが出来ず農場があった場所に戻ったら、自宅の下に埋まってたとか(花の子ルンルン?)、クワスチカは自分の心の中にあったんだとか(蘭堂家も視聴者もガックリ)・・・どんなラストが一番相応しいんでしょうね?難しいです。・・・・・・・・・・・
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| 2009年5月19日 記 |
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