女王陛下のプティアンジェ


1977年に放送されていた「女王陛下のプティアンジェ」です。

「キャンディキャンディ」が大ヒットしていた頃に放送されていたアニメで、「キャンディキャンディ」は79年生まれの私の世代でも知名度が高いのですが、この「プティアンジェ」に関しては、知らない方の方が圧倒的に多いと思います。きっと当時子供だった方か、アニメ雑誌を購入していたようなマニアの方しか知らないのではないかと思います「キャンディキャンディ」の人気は本当にすごくて、放送が終わった80年代になっても女の子向けの商品にはキャンディみたいな女の子のイラストが描かれていたし、70年代のアニメなのに、80年代のアニメ主題歌集に収録されている率が高かったり、80年代後半になってもアニメが再放送されたりと、とりあえず長々とその余韻が残っていたんですよね。

それに比べるとマイナー作品に分類されるアンジェですが、私はこのアニメをかなり小さい頃から知っていました。というのも、こちらで紹介している77年の「よいこ」にプティアンジェが連載されていたからです。ちなみに、こちらに載っているプティアンジェはアニメのキャラと微妙に絵の雰囲気が違う(どちらかといえば『若草のシャルロット』に似ている)のと、内容も、アンジェが森の動物たちとピクニックをするだけという、当たり障りのない物で、本編が「探偵モノ」だと知った時はその意外さにかなり驚きました。まぁ「幼稚園」よりも対象年齢が低い「よいこ」で、おまけに1~2ページの絵物語で探偵の話をやるなんて無理だとは思いますが・・。私も当時の「よいこ」はこの号しか読んだことがないので、他の号がどうだったかは謎です。ネットで調べたところ「幼稚園」では魔女っ子モノだったという話もあり、せっかくの探偵要素が生かされてなかったなんて、もったいない感じがします。せめて「なぞなぞコーナー」みたいなものをやるとかして、少しでも捜査とか探偵味を出せばよかったのに・・。

それから、大人になってからもアンジェの話題に触れる機会がありました。それは、私がいろんなところで何度も語っている「ゴミ捨て場から拾ってきた80年代初頭のアニメージュを読み漁っていた時期」のことです。多分、81~82年頃のアニメージュだったと思いますが、漫画家の吾妻ひでお先生が「プティアンジェ激推し」だということで、アンジェについて激論している記事を読みました。当時は「ロリコンブーム」だとかで、ミンキーモモみたいな女児アニメが男性にも注目されてきた頃で、今でいう「萌えアニメ」みたいな扱いだったようです。その記事はわりと濃い内容で、OPに金田伊功さんが関わっていたこと(よく言われる『金田動き』とか『金田光り』というやつ・・。画像付きで説明されていたけど、あのOPにおいて『光り』の方はわかるけど『動き』はイマイチわからない・・・)、アンジェの水玉のスカートがとてもいいということ、キャラデザが男性だからアンジェには色気がある みたいなことを熱弁されていました。それを読んだときには確かに可愛い絵柄だけど、そこまでの萌え要素があるのかどうか謎だったのですが、今回全話見て少しはそのこだわりの理由がわかったような気がします。確かに、アンジェはとても可愛い。

というわけで、気になってはいたものの、わざわざソフトを購入したり配信サイトを探してまで見たいとは思っていませんでした。それが、数か月前YouTubeで無料配信されているのを知って、いい機会だと思い見てみることにしました。

★よかったところ★

主題歌が良い
OPのタイトルが「アンジェにおまかせ」なのですが、少女アニメらしい可愛いタイトルのわりには曲調は結構大人びていて、アニソンというよりは歌謡曲っぽいというか・・。当時はピンクレディが流行っていたこともあってか「ペッパー警部」にちょっとだけ似てるかも??イントロもオシャレで好きです。EDは、当時ありがちなちょっと寂しげな曲調でOPもEDも「困った時は私を呼んで!」というメッセージが感じられてとても良いです。

アンジェが可愛い
アンジェは当時の少女アニメの主人公にありがちな「優しくて思いやりがあるいい子だけどオテンバ過ぎるのが玉にキズという感じのキャラで、それについては珍しいところは何もないのですが、アンジェが他の子とちょっと違っているのは根っからのお嬢様気質だということです。他のお嬢様キャラは、ちょっとその立場に窮屈さを感じてあえて雑に振舞ったりすることが多いと思うんですが、アンジェは行動力がある活発な子というだけで、それ意外の雑なところはあまりなく、あえていえば、手すりにまたがって滑り台のように滑ることくらいでした。(これって今考えるとすごく危険ですよね。アニメではよく見るけど、実際に人がこれをやっているのを見たことがありません。私もこの手すり滑りに憧れていたけど、手すりにまたがるなんて怖すぎて、結局実行することはできずせいぜい手すりに寄りかかってお腹でスライディングするので精一杯でしたよ・・それ以外でアンジェのお行儀の悪さは感じられず、貴族としての嗜みはしっかりと身についているようで、婆さんと一緒に舞踏会に参加したり、他人への言葉遣いも「まぁ、〇〇様ったら、〇〇ですわとお嬢様感満載。街で印刷会社の子供が困っていれば、自分のポケットマネーからその場で印刷を頼んだりと、子供とは思えない金持ちっぷりをアピールしていました。かと言って、生意気な部分は感じられず、困っている人を放っておけない、聡明で気品溢れるアンジェ様。そんな所がちょっと見ていて憧れる部分だったんじゃないかと思います。昔のアニメの主人公は男女問わず「貧しさを乗り越えて頑張る」みたいなのが多かったと思うんですが、私はあれがちょっと苦手なため、アンジェにはそういうところが全くなかったのがよかったです。
余談ですが、私が好きなアニメの主人公は大体中流以上か王子様・お姫様パターンが多いんですよニメくらい、貧乏臭さを感じずに楽しみたいじゃないですか。あと、昔のマンガやアニメの定番だった「金持ちは意地悪」っていうパターンも納得できません。
あと、キャラデザインの話ですが、上のレコードジャケットの画像を見てわかるとおり、見た目もめちゃくちゃ可愛いです。とにかく可愛いです。作画がもっと良ければ大変なことになってたんじゃないでしょうか(何が?)??
声も藩恵子さんがやってるので可愛いですよ。

探偵ものは新鮮
ツッコミどころ満載なアンジェの活躍ですが、それでもコナンよりも約20年も早く、それも女児向けで探偵ものをやるとは斬新すぎです。魔法や不思議アイテムにも頼らず「ある種の勘と心のひらめき」だけで捜査するなんて今でもないですからね。
ちなみにアンジェの捜査はコナンというより一休さん寄りです(^-^; 「それって「捜査」なの?」という回も多数・・。

マイケルの良さ
マイケルは、スコットランドヤードの若手刑事で、アンジェ達の街の治安はこのマイケル刑事とイマイチ頼りにならないポンコツジジイ・ジャクソン警部と大勢の機動隊(全員無個性のモブキャラ)に守られており、ここがいかに平和な街だということがよくわかります。マイケルとコンビを組むジャクソン警部は子供のアンジェが捜査に加わるのを良く思っていないのに対して、マイケルはアンジェを協力者として快く認めるナイスガイ。アンジェとの関係は男女でも妹でも娘でもなく、友達というか相棒というか、まぁ結局は「協力者」というのが一番相応しいんですけど、その微妙な関係性が良かったと思います。もう少し近づいて欲しいような、でもそれは許されない関係だよな~。何しろマイケルとアンジェは大人と子供、おそらく10歳は離れてるだろうから。アンジェがマイケルに憧れるような素振りもなく、かと言って妹や娘のように慕う感じもなく、本当に微妙な関係だったのが逆に胸キュンだったりしました。でも、よく考えるとマイケルよりも、子供を協力者にすることを良く思わないジャクソン警部の方が普通の感覚なんですよね~(笑)。この警部も最初は嫌な奴だったけど、アンジェの力を確信したのか徐々にただのズッコケキャラに変化していきました。アンジェの協力を必要としたくないと言いつつも、結局いろいろ助けてもらってしまうというのがパターンでした。
それから、何といってもマイケルはイケメンでいらっしゃる。地味すぎるキャラばかりのこのアニメの中で、アンジェと共に番組を華やかにしていました。見た目は中性的でいかにも昭和の少女漫画に出てくる王子様的な美青年なのですが、見かけによらず割と武闘派で、犯人を捕まえたりするシーンでは体を張って活躍するシーンも多く、警部のポンコツっぷりにツッコミを入れたりくだらない会話に付き合ったりと、性格も気さくで普通のお兄ちゃん的なところがとても良かったと思います。声がまたイイんですよね。曽我部さん、カッコいいです。


★気になったところ★

「女王陛下の」がわかりにくい
このアニメの正式なタイトルは「女王陛下のプティアンジェ」なのですが、その由来は、アンジェが女王陛下が失くしたネックレスを発見して、その時に女王陛下からお礼としてペンダントと「プティアンジェ」の称号をもらったというのが事の発端になっているからです。「女王陛下公認の」「女王陛下お墨付きの」という意味なのですが、このことが詳しく語られるのは第一話だけなので、「女王陛下の」って何だろう?と思っていた子供達も多いんじゃないかと思います。大人のアニメファンでも第1話からガッツリ見てる人なんてよっぽどのマニアでない限りいなかったでしょうしね。特に当時はビデオもなくて後で見返すこともできなかっただろうし・・。もう少し要所要所で「女王陛下から認められている」という設定を出した方がわかりやすかったんじゃないかと思います。

ペンダントの影が薄い
上記の女王陛下からもらったペンダントですが、OPでも金田光りと共に♪私の胸のペンダント光ってる♪と唄われて強調されているわりには番組内でクローズアップされることはほぼ皆無で、1~2話あたりで触れられただけだったと思います。このペンダントを付けていることで、アンジェのような子供でも捜査員として介入することができる という印籠のような役割の予定だったようですが、なにしろ事件を捜査するのは毎回警部とマイケルの二人だけなため、こんなペンダントがなくても「顔パス」で全てOKだったわけです。おまけに、どさくさに紛れて使用人の息子のフランクと飼い犬のロンロンまで自由に出入りしてるし。スコットランドヤードのセキュリティはガバガバにも程があります。
とはいえ、当初はメインアイテムとして売ろうとしていたのか、当時発売されていたアンジェの抱き人形が身に着けていたり、ペンダント単品でも売られていたようで、販売戦略としてこの設定をフルに利用しなかったなんてもったいない話です。

フランクとアンジェ様
フランクはアンジェの家の使用人(馬車の運転手)の息子で、アンジェと同じくらいの年の少年です。とても頭がよく、フットワークも軽いため、彼の活躍で事件がスムーズに解決することも多かったです。 アンジェからも絶大な信頼を置かれていて、マイケルや警部ともいつの間にか仲良くやっている、そんな世渡り上手なフランクなのですが・・。 大人の世界では使用人と主人の関係でも、子供の世界で は「お友達」として対等に触れ合うように描かれることが多いと思うのに、アンジェとフランクは「ご主人様」と「使用人の息子」 という関係性を崩すことなく描かれていたのが珍しいと思いました。フランクはアンジェを「アンジェ様!」と呼び、何か事件があればアンジェの指示を基にして的確に行動するという、とても有能な少年です。でも、そのドライな関係性にちょっと寂しさを感じたりもしました。 フランク自身も、アンジェのボーイフレンド気取りをすることもなく、アンジェのことが気になる素振りもなく、それどころかアンジェとマイケルが二人きりになるシチュエーションが あれば 、自分が邪魔にならないか気を遣う場面もあったりして、まだ子供なのに、なんだか寂しい(苦笑)。 このあたりは せめて「友達」のような関係であれば良かったのにと思います。それから、アンジェとマイケルと同様にメインキャラのひとりだったんだから、もう少し派手で可愛らしいデザインでも良かったのでは・・。 そんなちょっぴり可哀想なフランクですが、フランク一家がメインになる回もあったりして番組としての扱いは結構良かった気がします。

作画が残念
これはこのアニメを語る上で外せない定番ポイントですが、いろんな所で言われている通り、作画は結構アレでした。この時代のアニメは、普通の回、神作画回、崩壊回が入り乱れているのが普通でしたが、アンジェに関しては崩壊の中にたま~~に普通が混じっているというか・・・。その、わりと整った作画のシーンを見るとなんだかすごくキレイにみえて得をした気分になるのが不思議でした。これに比べると、大体全話通して安定していた東映の魔法少女シリーズの作画って凄かったんだなぁと改めて見直しましたよ。でも、そんな作画に恵まれなかったアンジェでしたが、頭に残ったのはアンジェの可愛らしい姿です。どんなに作画がダメでもちゃんと「可愛らしい」という印象が残ったのはスゴイことだと思います

全体的に地味なエピソード
全話通して可もなく不可もない話が続き、抑揚がないのがちょっと気になるところでした。感動する話が一話くらいあってもいいのにな、と思いました。最終回も、アンジェの両親が帰ってくるというのが他の話と違って特別感があっただけで、内容としては集大成のような感じも、最終回という感じもしない普通のエピソードでした。

アンジェとマイケル以外のキャラが地味
上でも似たようなことを語ってますがやっぱり美形キャラ二人では華やかさにかけるというか、もう少しフランクを派手なルックスにして、あともう一人くらいキレイどころなレギュラーがいれば良かったのにな、と思いました。美形ならいいという訳ではありませんが、せっかくの少女アニメなんだから・・という感じです。


いつものように、いろいろと文句ばかり言ってしまいましたが、だかんだで最後まで楽しく見ることができました。ちなみに、私が好きだった回は

13話「古城の怪事件」
前半の10話くらいまでは退屈な感じがしましたが、この回のあたりから内容が面白くなってきた感じがしました。ちゃんと捜査してるしサスペンスをやってるし、ラストの水攻めシーンもハラハラさせられて良かったです。

19話「嵐のハイジャック」
ハイジャックと言っても、飛行機ではなく気球です。探偵や捜査は関係なく、兄弟喧嘩の巻き添えを食ったアンジェ達がただただ危険な目に遭う回。この回のアンジェはハイジャック犯を自首&改心させるため説得する役。ここでもアンジェはいつもの金持ちっぷりを発揮して大盤振る舞い。「私がおばあ様に頼んで、無料で娘さんを入院させてあげるわ!」というようなことを申していました。さすがアンジェ様。
みんなが気球から気球へ乗り移るシーンはわりとハラハラしました。アンジェとハイジャック犯が乗った気球が嵐の海に落ちるシーンも迫力があってなかなかスリルのある回でした。

21話「黒ユリの挑戦」
おそらく、全26話中一番作画が良かった回だと思います。と言っても他のアニメで言えば「普通」か「まあまあレベルだったんですけどね・・。このアニメは他の回が全体的に不安定すぎだったから・・。内容も、アンジェの命が狙われそうになったり、自分を助けてくれたローラを犯人として疑うべきかどうか悩むシーンがあったりと、普段よりは濃い感じでしたし、ゲストキャラのローラ(リリー)も美人で良かったです。そして、吉田理保子さんの声は本当にイイなと改めて思いました。か弱い少女から、悪女へ変化する演技が素晴らしい!悩むアンジェに対するマイケルの助言も良かったなぁ。ローラが犯人だと確信してるけど、それを「あの子が犯人に決まってんじゃん!」と断言することなく、やんわりと。かと言って決して子供扱いしないところとか。
ラストはリリーの唐突な改心とまさかの「見逃し」オチで、ちょっと拍子抜けしましたが、子供向けだからしょうがないか・・。

こんな感じです。魔法や超能力を使わない少女アニメだと、主人公をいじめる嫌な奴(キャンディキャンディのニールとイライザみたいな奴)が出てくることが多くて、私はそれを見るのが苦手なのですが、このアニメはそういったこともなく、ストレスなく気楽に見ることができるのがいいところだと思います。もう少しだけ作画が良くて、もう少しだけ内容が濃ければ・・もっとちゃんと丁寧に作られていれば人気が出たんじゃないかと思えて、とにかくいろいろもったいない感じがしました。

最後に、「よいこ」のアンジェです。ちょっと雰囲気が違うけど、これはこれで可愛いと思います花の子ルンルンみたいな衣装も可愛い。
今初めて気が付いたけど、髪型も微妙に違いますね。せめていつもの赤いリボンだったらもっと本編のアンジェに近づいたかも。
関係ないけど、アンジェの隣のページはビスコの広告で「ロボット110番」・・時代を感じてイイですね。昔の雑誌ってこういうのを見るのが楽しくて、無駄なページがひとつもありません。

 

2026年1月4日 記