愛してナイト


81年~84年まで、別冊マーガレットに連載されていた「愛してナイト」です。

残念ながら私は原作を読んでいた世代ではないのですが、83年にアニメ版が放送されていたこともあってとても懐かしい作品です。私と同世代の方でこれのアニメ版のおもちゃ(お人形やハーピット)やグッズを持っていた方も多いはず!私の周りでも、これのきせかえ(紙製の)を持っている子や、上靴袋を持っている子が二人もいました。内容は結構メロドラマ(?)だったんですが、キャラクターが可愛らしいこともあってそこそこ幼女にも人気があったようです。

私と「愛してナイト」との出会いは小学校高学年だった89年~90年頃。なぜか私の住んでいる地域でOPの主題歌の歌詞と同じくらい何の前触れもなく突然再放送が始まり、毎日見てました。同じく放送を楽しみにしていた友人と一緒に、学校から走って帰って見ていたのがとても懐かしいです。
それくらいハマって見ていたのに原作には手を付けず、ずっと小学生時代に見たアニメの記憶のまま止まっていました。それから20年以上経って、今から数か月前、突然スカパーで再放送が始まり、「うわ!懐かしい!!」と久々に見てみたら見事ハマってしまったという訳です。まぁ、スカパーの放送はこれに限らずどれもかなり唐突で、「何で今頃この作品が・・」ということが多々あるのですが・・・私のようなマイナー派にはとても嬉しいことなんですけどね~。

アニメ版の感想については別の場所で語るつもりですが、ツッコミ所と語ることが多すぎるため、なかなか頭の中でまとまらなくて放置状態です(汗)。それで、今回は原作についていろいろと・・。実は小学生の頃行ったあるラーメン屋にこの原作コミックが置いてあって、早々に読むチャンスが訪れたのですが、パラパラと見てみるとアニメの雰囲気と違うことに気づいて「ああ・・いいや・・」と思って結局読まなかったのです。その時の「これじゃない感」がずっと残っていたためか、中学・高校・大学の超ヲタク期の間にも一切興味を持つこともなく、20数年の時を経てやっと全巻読むことができました。コミックなんて何年ぶりだろうというくらい久々の購入でした。
マーガレット・・・てんとう虫コミックスで幼少期を過ごし、小2でりぽんっ子に。中学へ入学後、徐々に女子力が低下し始め、少女マンガに違和感を感じ、中2で「少年ジャンプ」へ移動。19歳の頃「リングにかけろ2」読みたさにいきなり「スーパージャンプ」へと変な方向にステップアップしていった私には全く縁のない雑誌でした・・・。

これまでいろんなアニメやマンガを見てきて、連載された時期の時代背景や流行・大人の事情を察しなければいけないことなど、いろいろ学んできた(?)つもりでしたが、今読んでみてもやっぱり漂う「これじゃない感」・・。こっちの方が原作だというのに何と言うことだ!!と思いつつ、2巻・3巻と読み進めていくうちにだんだん馴染んできました。そして、最後まで読んだ時「あれ?これは・・原作の方が面白い・・のか・・?アニメよりこっちの設定の方が何か楽しいかも・・・」と思えてきました。そして、いろいろ考えてみたけどはっきりした答えは出ず「原作もアニメ版もそれぞれ面白い!」という結論に落ち着きました。・・・別に答えとか結果とかわざわざ考えるほどのことじゃないんですけど・・・でもあえていえばどっち派かな?と考えたけど、やっぱりどっちも捨てがたい・・。
そんな感じですが、先に見たアニメ版と比較しつつ語りたいと思います。


話の内容は・・・

舞台は大阪の下町。「やっこちゃん」こと三田村八重子は家業のお好み焼き屋を手伝いつつ夜間大学に通っている、ドジでおっちょこちょいな明るい女の子。ある日偶然校内で赤と黄色の髪の毛の青年・剛と出会うが、剛はやっこが憧れていたお好み焼き屋の常連客・里美と同じロックバンドのメンバーだった。剛と里美の両方からアプローチされモテモテのやっこは二人を天秤にかけあれこれ悩むが、自分が本当に好きなのは剛だということに気づく。わりとスムーズにくっついた二人だったが、二人の間にはいつも騒ぎが起きるのだった・・・。

という感じで、内容的には本当にそれだけなのです。それでこの作品の変わっているところは、やっこと剛がすぐに両想いになってしまうところ。普通の少女マンガだとそうなるまでに紆余曲折あって、その過程を描いた物が多いと思うんですが、この作品は最初からやっこと剛の両想いありきで、そこにいろいろハプニングが起こっていきます。それを回避していく所を描いているのがちょっと変わってるというか面白い所だと思います。

アニメ版でも基本は同じ感じですが、二人の間に誤解・すれ違いが生じたりお互い本当の気持ちに素直になれなかったりするシーンが追加されているので、両想いになるまでに結構時間を割いてあると思います。しかも、原作に比べるとキャラクターが全体的に重いというか濃いというか「クソ真面目」に設定されているので何かと大変です(これはこれでめちゃくちゃ大好きなんですが(笑))。でも原作版は全体的にみんな良い意味で軽く明るくポップで、シリアスなシーンでもどこかセリフの端々で笑いを取ろうとしているのがホッとさせられて好感が持てました。何か、こういうところが「大阪」って感じでイイです。どんな事態にあっても深刻になりすぎず話が暗くならないのがいいところです。アニメ版はなにかとすぐに大げさな方向に持って行って、毎回事件に発展してましたからね~。それはそれで面白くて大好きなんですけど(しつこい(笑))。ああ、アニメ版について語りたくなってきました(^_^;)
アニメと原作、両方の共通点はキャラクターに悪人どころか憎まれ役すら一人も出てこないというところです。憎まれ役的なキャラが出てきても、ちゃんと読者が共感できる要素を持っていて「実は本当はいい人なんです」というフォローが必ずある所がほっこりさせられます。
それで読んでいて「こいつムカつくわ~、本の中に入って殴ってやりたい」とか「あーーじれったいわ~!もうそんなことで悩むなよ、どうでもいいじゃん」とか、そういうストレスを感じない所も共通点だと思います。
あ・・でも「じれったい」というのはアニメ版の方で少しあったかも・・・。でも一般的な少女マンガに比べるとかなり少ない方だと思います。

ここからは、キャラクターについてアニメと比較しつつ語りたいと思います。

三田村八重子(やっこちゃん)
主人公。お好み焼き屋の娘で、長年店を手伝っているにも関わらず、お好み焼きづくりが下手でひっくり返す時に飛ばして誰かにぶつけてしまう(危)。昼は店の手伝い、夜は大学の夜間部に通っている設定ですが、夜間大学って実際あるんでしょうか。
アニメでは橋蔵ちゃんと剛さん、そしてジュリアーノにまでその座を奪われんばかりの薄さ(というより、他が濃すぎる)でしたが、原作は原作だけあって、少女マンガというだけあってちゃんと最初から最後まで主人公らしく描かれています。しかも、やっこちゃんはめちゃくちゃ可愛い。男子小学生のような活発さとあのおっちょこちょいなところもいいし、優しい性格だけど言いたいことはバシッと言い過ぎくらい言えるキャラなところがサッパリしていていいと思います。それでいて普段はおっとりしてて他の子よりも子供っぽいというのも親しみやすくていいです。
アニメでは橋蔵ちゃんにとってお母さん的な雰囲気を醸し出してましたが、こっちは「元気なお姉ちゃん」な感じ描かれてます。アニメ版のやっこちゃんは高校生、原作のやっこちゃんは大学生なのにアニメ版の方が随分大人っぽいような・・。
あと、原作版やっこちゃんは女性が描いてるだけあって毎回ファッションがとても可愛いです。あのいかにも80年代な感じがたまりません。今でも着てもOKな感じのが多くて、流行ってやっぱり巡り巡ってもどってくるんだなぁと思います。ポニーテールも可愛いけど、やっぱりやっこちゃんと言えばあの肩までのシンプルな髪型がイイですね。あれにリボンのカチューシャしてるのがかわいいです。


やっこちゃんのお父ちゃん
お父ちゃん。名前はたしか「しげまろ」さん。
やっことお父ちゃんの関係を見てると「お父さんは心配性」というマンガを思い出します。全然あんな変態じゃないんですけど・・。
とてもいいお父さんでやっこを溺愛、橋蔵ちゃんを孫のように可愛がっています。アニメの「愛してナイト」は東京の下町が舞台だったので、べらんめぇ調のチャキチャキ江戸っ子口調でしたが、原作は大阪が舞台なのでお父ちゃんはバリバリ大阪弁です。他のキャラは標準語で話すので、この人がいるから「ああ、ここは大阪なんだな」と思わせてくれるシンボル的人物でもあります。
やたらモテるやっこちゃんに変な虫が寄り付かないか心配していて、剛さん・里美さんのことを邪険に扱ったりしますが、心の底では「見た目はアレだが中身はイイ奴」と認めているようで仲が悪い訳ではありません。
そんなお父ちゃんの「悪い虫サーチ」「悪い虫スナイパー」度はアニメ版の方が感度が高く、剛さんとよくケンカになるのですが、原作のお父ちゃんはそれに比べるとちょっとユルすぎ!すぐにやっこに言いくるめられ、娘の親離れに号泣、朝帰りされてもなんだかんだでうやむやに、気が付けばお好み焼き屋に来た客と一体化してワーワー騒いでるだけだったり、アニメ版の存在感に比べるとひたすらユルい!ユルすぎるよシゲさん!!という感じです。出番多いのにあまり特筆すべきことも見つからず、お父ちゃんについて印象に残ったことといえば、割ったビーハイブのレコードをやっこの誕生日に買いなおしてプレゼントしてくれたことと、キレた里美さんに殴られたシーン(笑えます!)くらいで・・・。


加藤剛
やっこちゃんの彼。人気バンド「ビーハイヴ」のボーカル。まだ幼い橋蔵を育てつつ、大学とバンドの両立で忙しい毎日を送る。
アニメでは赤と黄色の絵具でベットリと塗リ分けられた「ギンギラ火事頭」が違和感ありまくりでしたが、原作ではちゃんとグラデーションもつけてあって、ホワホワっとしたタッチでパーマを表現してあるのでそこまでの違和感はありません。・・・でも、21世紀の今でもリアルであんな風に髪を染めてる人を見たら「うわぁ・・・」と圧倒されて二度見してしまうでしょうね・・。金髪だけなら何とも思わないんですが・・。
アニメではちょっと無口で不器用という感じで描かれていましたが、アニメ版の彼は元プレイボーイで言いたい放題やりたい放題。アニメと比べると話し方も乱暴というか、若者らしいです。
やっこちゃんは一体彼のどこを好きになってしまったんでしょう。今までいろんな女の子と付き合ってきたのは「これだ!」という子に出会えなかったからで、やっこちゃんと出会ってからはプレイボーイ返上で彼女一筋・・という風に描かれてましたが、本当かなぁ、本当に今後何年もずっとやっこちゃん一筋でいられるのかなぁとマンガの世界の話ながら疑わしく思ってしまいます。
誠実さも彼の最大の武器である「イクメンぶり」もアニメの方がパワーアップしてます(笑)。そんな訳で、剛さんのキャラだけは断然アニメ版派です(^_^;) 原作版の剛さんは橋蔵ちゃんと一緒に住んでるとか育ててるような、生活感のある描写も少なかったです。


加藤橋蔵
剛さんの腹違いの弟。5歳の幼稚園児。何かと忙しい兄を未就園児の頃から一人アパートで待ち続ける。食事は用意してなくても勝手に自分でどうにかして調達。愛猫ジュリアーノと一緒なら夜のお留守番も一人で難なくこなす・・というハイパー5歳児。
性格も口調もアニメとあまり変わりませんが、原作版の方が大人びてる印象です。アニメ版はキューピット役で、彼の目線でやっこと剛の恋愛を描いているのでとても出番が多い(というか、ほぼ彼が主役)のですが、原作はやっこちゃんや剛さん、その他のキャラ中心なので、その都合で動かされてることが多いです。キューピットというよりマスコットのような感じです。アニメでは「いかにも」なお子様キャラになってますが、原作は自虐を言ったりするし意外な面白発言をしたりして子供キャラならではの「あざとさ」がありません。「こんな5歳児はいないだろう」度は原作の方が高いと思います・・。
アニメでは生き別れの母親と再会するエピソードがありますが、こちらは「剛さんの父親の浮気相手の子供」となっていて母親に関することは一切出てきません・・・。少女マンガとは思えない思い切った設定ですね。そして、両親に最初に付けられていた名前は秀樹。「橋蔵」という名前はその後剛さんが引き取った時に付けた名前・・という設定になってます。他の名前だったらなんとなくしんみりしてしまうかもしれませんが、この名前からは某ヤングマンの人しか思い浮かばないせいで「秀樹って・・!!」となんだかニヤけてしまいます(笑)。
「剛さんとやっこちゃんを結婚させて、やっこちゃんにお母さんになってもらう」というのが橋蔵ちゃんの夢で、それはアニメでも原作でも叶うことになるんですが、それで解決するのは幼い時だけのこと。橋蔵ちゃんはこれから成長するにつれて自分の境遇にいろいろ思い悩んでいくんだろうなーー思います。アニメの方もそれは変わらないです。
彼が床屋にいくエピソードはめちゃくちゃ笑えます・・。


ジュリアーノ
剛と橋蔵の愛猫。
これほど「ブサかわ」という言葉が似合うキャラはいません!!めちゃくちゃ可愛らしくて大好きです。そのキャラにアニメも原作も一切変わりはありません。どちらかといえばアニメ版の方が活躍してるかな??橋蔵ちゃんは回によっては足手まといだけど、ジュリアーノは全てにおいてタイミングがよすぎです。何を考えてるかわからないけど、さりげなく困ってる人を助けてくれる、とてもいい奴です。
猫なのに、一目で多田かおるキャラだとわかってしまう、あの目つきも素晴らしすぎる。橋蔵ちゃんの坊主頭を隠そうと頭にのっかったシーンは笑えました。


陽子さん
剛さんのお母さん。息子の剛さんにも「陽子さん」と呼ばれていておばさん扱いされると怒る。
ちなみにアニメ版では剛さんのお母さんは亡くなったという設定になっているので登場しません。
最初はやっこにも橋蔵にも意地悪を言ったりしていたけど、実は愛情の裏返しというか素直になれないだけで本当はとてもいい人。夫の浮気相手の息子の橋蔵ちゃんのことも、実は可愛がりたいと思っている。最初、橋蔵ちゃんはこの陽子さんを苦手人物としていましたが、だんだん仲良くなっていったようです。
やっこちゃんのお父ちゃんと意気投合したあと、お互いの正体を知ってその後ケンカ仲間になってしまったのが面白かったです。


大川里美
やっこちゃんのお好み焼き屋の常連客でビーハイヴのキーボード担当。剛とは高校時代からの親友。やっこちゃんが最初に憧れたのはこっちが先で、このまま剛さんと出会わなければ両想いになっていたんでしょうか??
ここまでは原作もアニメも共通ですが、それ以外は多々違いがあります。
原作での剛さんのプレイボーイ設定をアニメでは彼が受け継いでいました。そっちの方がしっくりくるんですけどね~。単にアニメの方を先に見てしまったからかもしれませんが・・・。原作でもモテることに変わりはありませんが、プレイボーイという感じではないようです。ファンの人達ににきっちりファンレターの返事を書いていたりと律儀な人物なようです。アニメでは芽衣子さんとくっつきましたが、原作では結局誰とも結ばれませんでした。
アニメ版ではやっこちゃんを巡って剛さんと対立したり見た目に似合わず激しく、男っぽい所があるキャラだったのですが、それに比べると原作版の里美さんはやっこちゃんのことをわりとあっさり剛さんに譲り、その後も未練があるも、特に目立った行動を起こすこともなく「やっこちゃんのことを忘れるのも時間が解決してくれるさ・・・」みたいな、ちょっと押しが弱いキャラだと思いました。あと、最初やっこちゃんは彼をゲイバーで働いている人だと勘違いしていました・・・。そして「オカマならやっこを狙うこともないだろうから、毎日店に来てもOK!」みたいに油断していたお父ちゃん・・みんな何か間違ってます(笑)。


東野
ビーハイヴのメンバーで、ベース担当。
目立たないキャラながら実はビーハイヴの3番手!!やっこの親友・五十鈴ちゃんとラブラブ、結婚までします。原作とアニメで一番変化がないのはこの人かもしれません。
とても素朴な人柄で、ビーハイヴの中なら彼が一番いいと思います。



ビーハイヴのメンバーでギター担当。
アニメでは一番目立たない人物でしたが、原作では最後の最後にクローズアップされてびっくりしました。
優勝のかかった大事な大会を目前に、いきなり自分の家の事情でビーハイヴを辞めることに・・・ギターが抜けたビーハイヴ、大ピンチ!!になるんですが、杉さんたら思い入れがあるくせに結構あっさり辞めちゃうんですよ。さすがにあと数週間で大会だという時にいきなりやめるってのはどうかと思います。ビーハイヴは土壇場になってギター要員を募集するんですが、新入りがプレッシャーに耐えかねて大会出演直前に疾走。結局、大会を見に来ていた杉さんがピンチヒッターで演奏してついにビーハイヴは優勝!!事なきを得ますが、杉さんはこの時限りの参加なのでビーハイヴはまたギター要員を探さなければいけないんですよ。その後のどうなったのかということは描かれず物語自体が終了してしまいましたが、新メンバー加入エピソードも読んでみたかったです。
辞めた後は実家に帰って家業の呉服屋の主人に。キレイな嫁さんもいます。何気にオールマイティな杉!


松平
ビーハイヴのメンバーでドラム担当。
杉と並んでビーハイヴの目立たない人物その2。わずかながらアニメでは杉より目立ってた感じがしますが、原作の松平は一切エピソードもなく、それどころかどんな顔をしてたかも思い出せないほど目立ちません・・。セリフもあまりなかったと思います。アニメでのものすごいドラムさばき(?)も原作では確認することができず残念!!


山田坂
ビーハイヴのマネージャー。
やっこに「剛とわかれてほしい」と宣告し、やっこを苦しめる人物。
アニメではそのあたりがものすごくシリアスに、濃厚に描かれてましたが、原作では山田坂の言い分にも共感できるような描き方だったため、わりと穏やかに話が進んでいったと思います。キャラもこちらの方が随分ユルい感じでした。
山田坂とやっこちゃんの気持ちを理解した剛さんが「今年中だけ俺達別れよう!!」と言って、その年の年末(ほんの数か月の間)まで合わないことにしていたところが好きでした。別れてる時間は原作の方がはるかに長かったのに、アニメ版での深刻さと言ったら・・。
実は話がわかるマネージャー山田坂さん。なぜか、途中で肥えます(笑)。


五十鈴
やっこの親友。アニメではお互い同等な感じですが、原作では五十鈴の方がやっこのお姉さん的な感じで、ドジで奥手なやっこの面倒をみてるような関係に描かれています。アニメでは呼び捨てだけど原作では「五十鈴ちゃん」って「ちゃん」付けて呼んでたりします。
もともとやっこよりも前からビーハイヴのファンで、自分は一切相手にされてないのになぜか地味なやっこだけがモテモテなのが内心不満・・。でも、そこはポジティブで人間の幅がでかい五十鈴ちゃんのこと。「二人ともやっこのことが好きなんだもんね、しょうがないわよね~」と悟り、やっこがどうでもいいことで悩めば「あんた贅沢すぎるわよぉ~」とオープンに羨ましがり、里美がダメで剛がダメなら東野にするか的な感じでついに東野さんをゲットしちゃいます。アフロヘアだわ喫煙するわミーハーだわで一見ファンキーな雰囲気満点の五十鈴ちゃんなんですが、実は素直な性格でとても好感が持てます。原作の方がアニメよりもファンキー度が高いのに親近感が湧きました。という訳で原作版のキャラの方が好きです。一見、残り物で無理やり満足させたっぽい感じがしますが、実は一番当たりを引いてるのかも??


芽衣子
里美のファンで、里美のエレクトーン教室の生徒で、バンドをやっている高校生。
これは原作とアニメの違いがスゴイですね。アニメではやっこと同じ年頃で、里美の父親の仕事(音楽関係)のお偉いさんの娘・・・という親の事情絡みまくりの設定でしたが、原作では単なる高校生でした。アニメでは里美と剛を天秤にかけるやっこに文句たれたり、橋蔵を介して剛と会っている所にクレームつけたり、里美に付きまとったりと中盤まで完全な憎まれ役でしたが、それに比べると原作版芽衣子ちゃんはとてもさっぱりしてる・・。アニメではなんだか強引に里美さんをゲットしてしまいましたが、原作ではわりとあっさりあきらめて、ちょっと未練はあるけど忘れるようにするから、里美さんも早く他の人を見つけなよ~みたいな感じで終わってしまいました。
気は強いけど実はいい人と言う点ではアニメも原作も共通しています。


シェラ
ビーハイヴのライバル、「キスレリッシュ」のボーカル。歌の上手さはお墨付きで剛さんも言葉を失ってしまうほど。
なぜかお姉系。絵柄だけで多田かおるキャラだと一発でわかってしまうキャラ。それもそのはず、よく見ればジュリアーノ系のお顔。もしかしたらジュリアーノがシェラ系の顔の方が正しいのかも??
珍しくアニメでも原作に忠実であのキャラのままでした。アニメでは怪しげな雰囲気を醸し出していて、リアルなキモさがあったんですが(苦笑)、原作ではギャグシーンもこなす、キュートなお姉キャラという感じです。キスレリッシュにとってもビーハイヴはライバルのはずなのに、シェラは剛のことが大のお気に入り。キスしたり抱きついたり愛の言葉をかけたりといちいち剛に絡みつきいじり倒していましたが、根はとてもイイ人なのでなんだかんだで仲良くやっていました。剛さんのことが好きなのに、その剛さんの彼女のやっこちゃんとも仲良くできるという、朗らかなお方(笑)。
こんな感じなので、男性が好きなのかと思ったらそんな訳でもないようで、嫁がいた。しかも、子供までこさえ済みという「案外普通」な一面も。アニメでのシェラは子供が出来ていたことに気づいていなかったのですが、原作ではやっこちゃんが気づいていなかっただけで「私達、夫婦なの。しかももうすぐ子供が生まれるんだけど何か?」的な展開でなんだか拍子抜けな感じがしました。見た目通りしばらくは男色な方が面白かったのでは・・?と思ってしまいました。


万里乃
シェラの奥さん。やっこちゃんの前では「私、昔からシェラが好きなんだけど・・・でも彼ってああいう人でしょ?振り向いてくれないかも・・」という不安げな所をみせておきつつ、実は既に嫁だったという、あれは一体なんだったんでしょう?よっぽど純情なやっこちゃんをからかってみたいと思ったのでしょうか。
でも、やっこちゃんの恋の悩み相談にのってあげたり、事故に遭いそうになった橋蔵ちゃんを庇ったりするとってもイイ人だったのです。途中で鳩子ちゃんという女の子を出産。その子は橋蔵ちゃんの許婚ということになってます(笑)。


かおる&ごんた
橋蔵ちゃんの幼稚園のクラスメート。
かおるちゃんは橋蔵ちゃんが好きで、ごんたは一方的に橋蔵ちゃんをライバル視しています。アニメでのかおるちゃんは芽衣子の妹という設定。いろいろと大活躍をするスーパー5歳児なんですが、原作版かおるちゃんは普通の幼児。逆にごんた君はアニメ版はただの悪ガキ。原作の方が出番が多いし活躍していますね。しかも原作での奴は案外「男」です(笑)。
この二人はアニメのオリジナルキャラかと思ってましたが原作にもばっちり登場していたのは意外でした。もしかしたら、アニメの方が先なのかもしれませんが・・・。


良太郎
アニメと原作の最大の違いは彼の存在だと思います。出てこなかった理由は、原作に登場したのがアニメが終了した後だったのか、こいつを登場させたら話が長くなって当初の放送予定話数を超えてしまうとかややこしくなるからとか、そんな感じなんでしょうか。ただでさえ思い込みの激しさからすれ違いだらけのアニメ版。彼を登場させたらきっと1年分の放送じゃ解決しなかったでしょうね(^_^;)
やっこ&剛カップルにとって最後にして最大の障害となった彼。そんな良太郎君は何かといろいろ剛さんより好条件なのです。申し分なくイケメンで、やっこちゃんよりも年下(まだ高校生!)。本来の姿はパンクロッカーだけど演歌にも詳しく、お好み焼きを作る腕も良かったため、やっこのお父ちゃんに気に入られ住み込みバイトをOKされてしまうという世渡り上手。お父ちゃんの前でのぶりっ子ぶりは某甲賀忍者ケムマキを彷彿とさせます(私だけかもしれないけど)。
何を考えてるのかわからないように見えて、実は優しい所も・・・そんな奴が剛さん不在の遠距離恋愛中にやってきて、思わずやっこも惑わされてしまう・・・という剛さん大ピンチの展開になってしまったのです。
私は絶対にやっこちゃんにに一目ぼれしてしまったから何かと絡んでくるのかと思ってましたが、実は良太郎の当初の目的はやっこそのものではなく「憧れの剛さんを一度ギャフンと言わせてみたかった」という理由(ちょっと違うかもしれないけど、気を引こうとしていたのは確か)だったというドンデン返し(笑)。思わず「そっちかよ!」と心でツッコんでしまいましたよ。と言っても途中からはやっこちゃんのことを本当に好きになってしまったようで、それでも結局二人の愛には勝てず身を引くシーンは女性なら胸キュンになること間違いなしです。

それから、ビーハイヴからギターの杉さんが抜けるというエピソードの時、彼もビーハイヴ加入オーディションを受けるんですが(これで「実はビーハイヴのファンだった」ということが判明)、てっきり杉さんの後釜にこの人が入る展開になるかと思ったら、この予想が全くかすりもせず拍子抜けしてしまいました。良太郎のいるバンドのメンバーって何か悪い奴っぽい感じだったんですよ。それで、きっとこのバンドを抜けるんだと思っていたら・・・。ラストでまさかの「メンバー実はいい人!!」失恋した良太郎をなぐさめていました。これも「あれ??」という感じでした。
それにしても、最後に剛と対決させたのが剛よりも若い少年だったのが意外でした。女性同士を対決させる場合は「主人公より若くて可愛い子が登場」・・・というのがよくあると思いますが、男性を対決させる時は「少し年上で大人なキャラ」をぶつけてくることが多いと思います。よっぽど男性が主人公より年上で、年齢が離れてるのがネックならそうするかもしれませんけど・・。そんなところが何だか変わってて面白いなと思いました。

良太郎はあの華奢な体型がイイんですよね。剛さんももちろん細いけど、良太郎のあの高校生ならではの、少年ならではのあの華奢さ・・・。そして20歳超えたオッサンが失った初々しさ。そこのところを武器にして剛さんにぶつけてくるとは、多田かおる先生はいろいろわかってらっしゃいますね(爆)。やっこちゃんも良太郎のそんな所に惑わされてしまったに違いありません。それじゃなかったら魅かれた理由が全くわからない・・。


いろいろあったけど、最後はアニメと同じく剛さんがやっこちゃんにプロポーズして、お父ちゃんに許しをもらって結婚式をしてみんな丸く収まったところで終了です。
アニメではこのプロポーズにいきつくまでにお父ちゃん関連でいろいろあるんですが、原作ではわりとあっさり折れてしまってました。


こんな感じで最初から最後まで明るくドタバタで話が進んでいきますので、変なストレスを感じることもなくとても読みやすいお話です。あまりブリブリしたところもないので、男性の方や私と同じように女子力の低下により少女マンガが読みにくい・読めない女性の方にもおススメです(笑)。

一つ、残念な所を上げるとすれば原作では剛さん達がどんな歌を歌ってるのかがわからないということです。ライブのシーンでは歌詞が書かれていますが、これがどんなメロディなのかは歌詞だけではわかりません。その点、アニメでは♪ベイビ~俺の目をみろ~♪とか♪炎になれ~ファイヤ~♪とかちゃんと歌が流れていたのでわかりやすいです。仕方がないことですが、これだけはアニメの方がリアルに感じられるところですね。別の場所で語ろうと思ってますが、この歌がとてもインパクトがあって、初めて見た小学生時代から一度も忘れたことがありません(笑)。
でも、多田かおる先生のあとがきによれば、アニメ版のビーハイヴはロックでなくロカビリー風に改変されているらしく、多田先生が描きたかったビーハイヴのロックってどんなのだったのか聴いてみたいです。

それから、どうでもいいことなんですが、個人的にすごく気になったのが大阪弁について。お父ちゃんとお好み焼き屋の常連のオッチャン達はバリバリの大阪弁で話すのですが、やっこちゃん達メインキャラは標準語です。なのに、「○○がここにいる」という意味の「いる」だけなぜか大阪弁で「いてる」って言うんですよ。「お父ちゃん、ここにいてるから・・」みたいな感じです。やっこちゃんも、その他のキャラもそこだけなぜか大阪弁なんです。それがすごく気になりました。あれ、何でなんでしょうね????




2013年8月30日 記