渋谷哲平

 


渋谷哲平さんが出したシングル曲(A面のみ)のベスト盤CDです。発売は2010年。

渋谷哲平さんがデビューしたのは1978年で、「スター誕生!」という番組からのデビューでした。そして、主にアイドルとして活躍されていたのは78~82年頃まで。そんなわけで、79年生まれの私はアイドルとしての全盛期を全く知らず、その存在を初めて知ったのは98~2000年頃でした。その頃に他のアイドルの曲目当てで買ったオムニバス盤のCDにたまたま「Deep」が収録されてたからです。その時は特にいいとも思わず、失礼ながら「何だかちょっと変な歌だなぁ」と思ったのが第一印象で、そこまで深く聴きこむこともありませんでした。
それから数年後、スカパー1978年の「レコード大賞」を視聴。新人賞にノミネートした「Deep」を煌びやかな衣装でカッコよく踊る姿を見てからというもの、すっかり虜に(笑)!!それからは「レッツゴーヤング」の配信やYouTubeでいろいろ見れるようになってから「Deep」以外の曲を知っていろいろ聴くようになりました。
ファンとまではいかなくても「この人の歌はどれもイイ曲だ!!」ということがたまにあると思いますが、私にとってこの渋谷哲平さんがその歌手の中のひとりです。本当にどの曲もみんなイイのでアルバムまるごとレビューしたいと思います。

当時を知る方には言わずと知れたことだと思いますが、そのルックスの良さはもちろんのこと、ダンスもキレキレだし、とにかく歌がめちゃくちゃ上手いのです。当時のテレビ番組での歌唱シーンもいろいろ見ましたが、どれも安心安定の歌唱力(レコードとほぼ変わらず)で驚きました。

※このCDでは、本当は「Deep」が一番最初に収録されているのですが、発売順にレビューしたいので、順番を入れ替えています。

タイトル 発売年 レビュー
朝日に向って 78年 デビュー曲。ガンダムのアムロのモデルがデビュー時の彼だというのをネットで読んだことがありますが、本当なんでしょうか?そう言われてみるとほんのり似てるような・・。
トランペットのイントロが古臭くてとても78年の歌には思えません。アイドルソングというより「歌謡曲」な雰囲気が強いと思います。最初はこういう「青春歌謡」みたいな路線でやっていく予定だったんでしょうか。「スター誕生」で歌ったのが「ぼくの妹に」だったから、それ系の曲で行こうと思ったのかも?とはいえ、恋愛の歌だけど「これから新しいことを始めよう」というメッセージが込められていてイイと思います。特にサビの♪ごらん 朝日だ♪という盛り上がりはとても感動的でイイ。
君だけを愛して 78年 これも「朝日に向って」と同じ路線の歌で似すぎているのがちょっと残念。でもこっちの方が好きです。1番と2番の間奏部分はちょっと「白いブランコ」とか「空に星があるように」とかに似てるかも。この歌の肝は何といっても間奏部分のセリフですね。個人的にはセリフがある歌ってあまり好きじゃないんですけど・・大体恥ずかしくて聞いてられないんですよね(^^;)
コレ、ご本人も相当恥ずかしかったのでは??きっと何度も録りなおしてるはずですよ。でもさすが70年代後半の歌だけあってセリフの言い方が「僕の星はひとつだけ」「そう。君さ」の部分がサラッと語られていてなかなかイイですよ。恥ずかしくてニヤニヤしてしまいました。
当時の「夜のヒットスタジオ」でこの曲を歌っているのを見たことがありますが、めちゃくちゃ初々しくて可愛らしくてグッときたものです。(案の定、セリフはめちゃ恥ずかしそうでした)
Deep 78年 これが一番有名で一番のヒット曲ですね。90年代にはとんねるずの番組、2000年代になってからも、「懐かしの〇〇」系の番組で披露しているのを見たことがあります。
前2曲からかなり路線変更してますが、それで大正解だったと思います。この時代のアイドルといえば、やっぱり派手なアクションですからね。
初めて歌唱シーンを見た時の衝撃は忘れられません。バックダンサー女子(スクールメイツ?)を引き連れて、全員であのイントロの手をジタバタする振り付け!きっと一度見たら忘れられないし癖になること間違いなし!そしてあの妙なコーラス!!♪うみ うみ♪はまだいいとして♪めた めた♪ ♪けに けに♪は思わず笑ってしまいます。でもやっぱり癖になる歌なので、ハマってしまった後は何度も繰り返し聴いています。あの振り付けだって、海に飛び込んで溺れそうになる→地上に上がる という様子がわかりやすく表現されているし、あのハードな振り付けを息ひとつ切らさずこなすのも素晴らしい!
スタント・マン 78年 「Deep」が良かったので、このままハードアクション路線で行こうというのがよくわかる曲。曲そのものはカッコいいのに、♪もう行き止まり もう通せんぼ♪♪そこ行き止まり ここ通りゃんせ♪♪もうダブルパンチさ♪という歌詞の「ん?」と思わせられる絶妙さが素晴らしい。振り付けもカッコいいんだから、歌詞も普通にカッコよくしてほしかったなぁ。ちょっと変な歌詞の方がインパクトがあって売れることもあるけど・・。
標的 79年 もう一曲ハード路線で勝負!というのがよくわかる曲。秀樹の「ジャガー」ピンクレディの「モンスター」「カメレオンアーミー」に雰囲気がちょっと似てるような??
挑発的な歌い方で、収録されている曲の中では一番ハード系な曲だと思うけど♪好きだ~よ~ うるんだ瞳で~♪のところからが歌唱力の高さを堪能することができて素晴らしい!!
ジャンピング・ジャック・フラッシュ 79年 ここからまた路線変更で、爽やかアイドル路線で登場です。そうそう、こういう感じの曲を望んでたんですよ!私はここから「Kiss・キッス・Kiss」までの間の曲が好きです。
普通は、いかにもアイドルっぽい爽やか路線・王子様路線から始まって、成長していくと共にハード系に移行していくパターンが多い中、ハードから爽やか路線に行くのは珍しい気がします。♪恋は ジャンピング ジャック フラッシュ!♪って言いにくいようで意外と語呂が良くてカッコよくて大好きです。フラッシュ!の所でジャンプする振り付けもとてもイイ!!
ヤング・セーラーマン
(IN THE NAVY)
79年 当時「ヤングマン」が超大ヒットしていたので、あわよくば後に続こうとしたのがよくわかる曲。洋楽「IN THE NAVY」のカバーで、同じ曲をカバーしたピンクレディの「ピンクタイフーン」と同時期の発売とのこと。何故・・?もったいなさすぎとしか言いようがありません。2匹目のドジョウはハズすことの方が多い上、同じ歌を同時にカバーするなんて、共倒れになるとしか考えられないのに・・。79年といえば、ピンクレディも全盛を過ぎてきた頃ですよね「ピンクタイフーン」はどのくらい売れたんでしょう・・。
そんなことをいろいろ考えてしまうので、私としてはこの曲はイマイチ・・。同じお金をかけるなら、普通に新曲を作ってほしいと今更ながら思ってしまいます。これはどんな曲のカバーにも言えることなんですけどね・・。大体元祖のヒットとインパクトを超えるのは難しいんだから・・。
歌唱シーンを見たことがありますが、「S」を手で表現するのは難しいということがわかりました。音楽レビューになってませんが、女性バックダンサーと手拍子しながら元気に歌う姿は素晴らしいです。
ときめきの二人 79年 これはイイ曲ですよ!!オシャレ系「カリフォルニアコネクション」路線で始まって、そのまま大人っぽい感じでいくのかと思ったらサビの部分は青春アイドル路線。タイトルも素敵でイイ!!
カリフォルニアを夢みて 80年 この歌もめちゃくちゃ好きです。レッツゴーヤングで歌っていた印象が強いです。このレコードのジャケ写もそうですが、「太陽にほえろ!」のスニーカー刑事が浮かんできます。単に衣装が似てるからっていうだけなんですけどね。この頃ってアメリカンブームですよね。
よ・し・な・ョ 
フィージィ
80年 私が一番好きな曲です。この曲を聴いた時に改めて歌の上手さを再確認しました。細かいですが♪女は いつだって やさしい言葉探して♪の♪いつ だぁって♪の「あ」の部分の声の美しさに感動したのです。
この曲ではバックバンドを引き連れていて、それまでの歌とまた違った雰囲気だったと思います。「引き連れる」っていう言い方もアレだけど、当時こういうのが流行りだったのかジュリーも秀樹もアイドル後期の頃に専属バンドと一緒にやっていたと思います。
恋のサマー・ガール 80年 明るく爽やかでイイ!!夏のアイドルはやっぱりこうでなければ。♪サ~マ~♪の部分のセルフコーラスもイイ。ジャケ写もこれが一番好きですね、アイドル全開なところが。初期のはちょっと野暮ったい感じがするし、後半は年齢の割に落ち着きすぎ。
UCLA・フィーリング 80年 「よしなョフィージィ」の次に好きな曲です。全シングル曲の中でもこれが一番本人のイメージに合ってるような気がして、そういう意味でも気に入っています。♪緑もえるキャンパスへ♪という歌詞があるけど、まさにそんなイメージだったので。
レッツゴーヤングで歌った時に、サンデーズと一緒にアメフトを絡めたパフォーマンスをやった回があって、それが好きで何度も見てしまいます。今となっては信じられないですが、あの時のサンデーズにはトシちゃんや聖子さんがいたんですよね。男女のアイドルが所属事務所の壁を越えて一緒にパフォーマンスをするというのは、私がアイドルを見始めた80年代半ばあたりでもなかなか見られなかった光景で、あるとすればかくし芸大会か紅白歌合戦の余興くらい。サンデーズはみんなで協力してパフォーマンスをしたり唄ったりというのがたくさんあって、とても胸アツでした。本当に、いいよなぁ昔のアイドルって・・と羨ましくなります。
大好きな曲ですが、この曲で気になるのは♪Yes We Have UCLA Feeling♪のところの、「Yes」の直後のボォンという音。あれが今いくよ味とマルコメ味噌味があって、「あの音、なくていいのになぁ・・」とずっと思っています(笑)。
最後まで悩ましく 81年 前とはうってかわって突然の郷ひろみ路線。「よろしく哀愁」「How many いい顔」みたいな雰囲気。♪唇 愛を歌えば~♪の曲調が変化するところの歌謡曲っぽさがたまらない。そこまで好きな曲ではないけど、歌唱力の高さを存分に味わえます。
愛してAdios 81年 この歌もカッコよくて素晴らしいです。後半の歌では一番好きです。ちょっと大人びた歌詞だけど、♪Te quero! Te quero!♪のところの振り付けがファイティングポーズぽくて、ここだけ少年ぽい所がイイ!!今聴いても古臭くないし、アイドルっぽい感じでもないので万人向けでおススメできる曲だと思います。
Kiss・キッス・Kiss 81年 「いかにもアイドルソング」路線のラストで、それでいてそこまでカッコつけたりブリブリせずにサラッと歌われている所が好きです。♪One Two Three♪とか♪One more Kiss♪のところの振り付けがバリバリアイドルでこれまたイイ!!
想い出して下さい 82年 ここからなぜか歌謡曲路線突入!野口五郎路線というか・・。ジャケ写もすっかり大人の雰囲気。女性目線の歌詞も、年齢的(まだ19歳くらい??)にちょっと早すぎやしませんか?もう少しアイドル的な明るい歌を歌っていて欲しかった。とはいえ、当時は20歳越したらアイドル卒業で強制的にオッサン期突入、という恐ろしい時代だったので仕方なかったのかもしれません・・・。今は逆に「10代のうちにブレイクしようだなんて甘すぎる」という時代になってますからね。先が長いので今のやり方の方が理にかなってるかもしれません。
肝心の歌については、確かに上手い。非の打ちどころのないほどの歌唱力。そして、いくつになっても照れずに歌える大人の歌詞。でも私は「KissキッスKiss」までの路線の方が好きだ。この曲は私にとってのツボではなかったけど、いろんな人に聴かせて「上手い!」ということを再確認してほしいと思いました。
めぐり・哀 82年 最初タイトルを見た時「あれ?ガンダム?」と思ったら、ガンダムは「哀・戦士」でした。曲ももちろん全然違ったし。何かのアニメ映画の主題歌かと思ったら普通にシングル曲でした。これも「想い出して下さい」と同じ雰囲気の曲で、前奏からは堀内孝雄味も感じられます。サスペンスのEDにも良さそう・・。
わが青春のアルカディア 82年 「キャプテンハーロック」の映画の主題歌。これはもうタイトルで気づきましたよ。ハーロックはテレビシリーズ全話見てますからね。そして子供の頃なぜかダーツのおもちゃまで持ってましたから(多分「無限軌道SSX」のやつ)。
この歌のすごい所は、ちゃんとハーロックのアニメの雰囲気が感じられるところです。前奏・出だしからこれは確かにアルカディア号!ハーロックの歌だ!とちゃんと認識できるところがスゴイです。しかも作曲が平尾昌晃さんだったとは!さすが!!
♪宇宙よ~♪のところからの盛り上がりが素晴らしすぎ!!♪俺の魂は 挑み続ける♪の所がちょっと「愛してAdios」の雰囲気にも似てるけど。
ダンスに夢中 79年 これと「ジンギスカン」はアルバムからの2曲だそうです。
「I was Made for Dancin」のカバー。ディスコ系のオムニバス盤には必ずと言っていいほど収録されいて、オリジナルを先に知っていたので「あー、あの曲ね」という感じでしたが、私は洋楽のカバーはそのままオリジナルの歌詞で歌って欲しい派なので、和訳はちょっとなぁ・・という感じでした。テンポもオリジナルの方がいいですしね。この頃って洋楽のカバーがブームだったのか、レッツゴーヤングでも渋谷さん含め、サンデーズのメンバーはそういうのばっかり歌っていた印象があります。カバーもいいんですが、全員自分の持ち歌がちゃんとあるんだから、そっちの方をガッツリ聴かせて欲しかったと思いました。
ジンギスカン 79年 あの有名な「ジンギスカン」のカバー。この歌もいろんな人がカバーしてますが、どれもオリジナルのインパクトには敵わず、このバージョンも正直イマイチ・・・。まず、日本語に訳してあるところで「コレジャナイ感」が激増。「ジンギスカン」という単語以外は何を言ってるのかよくわからない所に大きな魅力があるような気がするので(私個人の意見ですが)勢いにまかせてウホホホ!ワハハハ!と山賊のように豪快に歌って欲しいです。


相変わらずレビューになってないところもありますが、なんとか完成しました。なぜか、好きな曲の感想は少なくて、そこまで好きじゃない曲の方が長々と語ってしまっているのが不思議です。文句ばっかり言ってるってことでしょうね(^^;) だいたい伝わったかと思いますが、特に好きな曲は「よしなョフィージィ」「UCLAフィーリング」「ジャンピングジャックフラッシュ」「愛してAdios」です。でも、その他の曲もだいたい同じくらいに好きで、最後の洋楽カバー2曲は「う~ん・・」という感じでした。これは誰が歌っても同じで、オリジナルを超える物はないと思っています。

渋谷哲平さんといえば、「なぜ売れなかったのか問題」も未だに答えが出ていないことのひとつだと思いますが、今回レビューしてみて本当にわかりませんでしたあえて言えば路線が定まらなかったことかな・・とも思いましたが、それだけどんな曲を歌わせてもちゃんと歌えるし、しっくりくる ということの証明でもあるし・・。ただ、最初の2曲は「これは売れないだろう」と素人の私でもわかりました(苦笑)。あとは、たのきんブームに圧されたという説もありますが、まだトシちゃん&マッチが現れる前の空白の78~79年の2年間もあったはずなので、それもちょっと違うかな、と。それに、サンデーズではトシちゃんが渋谷哲平さんの後ろで踊っていることもよくあったのでそのあたりの力関係も問題なかったのではと思っています。川崎麻世さんもジャ〇ーズなのに売れてなかったんですよね。見た目もいいし、歌も上手いのに。やっぱり結局運とタイミングなんだろうなという結論に達しました。それでも、シングルが18曲とアルバム8枚発売できたなんて、大健闘なんじゃないでしょうか?関係ないですが、ウチの両親もちゃんと知ってましたよ。

近年でも「懐かしの〇〇」系の番組に出てくれる時もあるし、ハーロックの曲があるので懐かしアニメ系の歌番組にも出れますね。未だに抜群の歌唱力はご健在なので歌い続けていただきたいです。(そして、またキレキレのダンスもやって欲しい・・)

ここに辿り着いて興味を持たれた方、おススメなのでゼヒ聴いてみてください。できれば振り付けと一緒に見るのがマスト!動画サイトとかで検索すればきっとすぐに見つかります。

2023年7月10日 記